図書館を使い倒す

「図書館」と聞いてどんなイメージを持つだろうか。静かで、勉強している学生がいて、本を借りるにはハードルが高い。そんな印象を持つ人は少なくないはずだ。特に子育て世代にとっては、かつてのぼくがそうであったように「子どもが騒いだら迷惑かけそう」「そもそも行ったことがない」という気持ちが先行して、なんとなく敬遠してしまうこともあるだろう。

しかし最近の図書館は、そんなイメージとはまったく違う。子ども向けのスペースが充実していて、少々声が出ても気にしなくていい空間が確保されていたり、ベビーカーでの来館がしやすかったり、そもそも子育て世代の利用を大歓迎しているところがほとんどなのだ。

図書館は今や、「本を借りるだけの場所」ではなく、「子育てを後押ししてくれる公共サービスの拠点」と言っても過言ではない。

1. 図書館の児童書コーナーは宝の山

多くの図書館には「児童書コーナー」があり、ここが実に素晴らしい。

絵本、読み物、図鑑、紙芝居。乳幼児から小学生までを対象とした本がずらりと並び、手に取りやすく工夫されている。年齢やテーマごとの特集コーナーが設けられていることも多く、「今月のおすすめ」や「○歳向けの本」など、初めてでも選びやすいのが嬉しい。

親にとってもありがたいのは、「読み聞かせに使う絵本を手軽にまとめて借りられる」という点だ。購入するとなると、一冊1,000円を超えることもある絵本。それが10冊まとめて借りられるとなれば、まさに宝の山だろう。絵本との「一期一会」も楽しみのひとつだし、子どもが気に入ったら改めて購入するという選択肢も取れる。

2. 予約と取り寄せの便利さに驚く

実際に図書館を使い始めて驚いたのは、その便利さだ。

多くの自治体では、インターネットからの蔵書検索や予約が可能になっている。さらに、居住する市内の図書館間での「取り寄せ」も対応しており、自分の最寄りの館に読みたい本を送ってもらうことができるのだ。

これは特に絵本においてありがたい。たとえばSNSや絵本紹介サイトで見かけた人気の本、近所の図書館には置いていなかったとしても、別の館にあればすぐに取り寄せられる。そして、自宅からネットで操作しておけば、あとは「用意できました」の連絡を待つだけでいい。忙しい子育ての合間でも、気軽にアクセスできるのは大きな魅力だ。

3. 絵本のサブスクと並行して図書館を使う

我が家では、絵本のサブスクサービスも利用している。月に数冊、プロが選んだ絵本が届く仕組みだ。新たな出会いもあり、とても重宝している。

ただ、それだけでは大人と子どもの「もっと読みたい!」という欲求を満たしきれないこともある。そんなとき、図書館が頼りになる。子どもがハマっているテーマの本をまとめて借りることもできるし、絵本だけでなく図鑑や紙芝居まで試せるのは図書館ならではの強みだ。

サブスクは「選んでもらう楽しさ」、図書館は「自分で選ぶ面白さ」といった具合に役割分担をすれば、家庭における絵本環境はぐっと豊かになる。

4. こども向けイベントが豊富

図書館は単なる「本の貸し出し場所」にとどまらない。

多くの図書館では、定期的に「おはなし会」や「絵本の読み聞かせイベント」などを開催している。地域のボランティアさんや図書館スタッフが温かい声で読み聞かせをしてくれるこのイベントは、親子のちょっとしたお出かけにもぴったり。

人前で聞く絵本の楽しさ、同世代の子どもたちとの空気感、季節の行事と連動した内容——家庭だけでは体験できない要素がたくさん詰まっている。何より、「自分が知らない絵本に出会える」きっかけになるのが大きい。

5. 利用者カードを親子で持ってみよう

図書館では、基本的に誰でも無料で「利用者カード(貸出券)」を作ることができる。子ども名義でも発行可能な場合が多く、親子でそれぞれカードを持つのもおすすめだ。

カードを持つことで、子どもにとっても「図書館は自分の場所」という意識が芽生える。自分のカードで本を借りるという体験は、責任感や自主性を育てる機会にもなる。

また、貸出冊数にも余裕がある図書館が多く、1人10冊まで借りられるといったケースも珍しくない。親子それぞれのカードがあれば、より多くの本に出会える。

6. 図書館で子どもの「好き」に気づく

図書館に通うことで、子どもの「好き」に気づく機会も増える。

例えば毎回動物の本を借りたがるなら、動物への興味が強い証拠だ。乗り物、恐竜、宇宙、食べ物、植物……。図書館という自由な選択の場で、子どもは自分の興味に素直に向き合える。

その観察を親が共有し、次回の本選びやお出かけのヒントにするのも楽しい。「前は恐竜だったけど、今は宇宙に興味が移ってきたのかも」と、子どもの関心の変化を捉える手段にもなる。

7. まずは一歩、足を運んでみよう

図書館の魅力をこれまで知らなかった方こそ、一度訪れてみてほしい。思っていた以上に子どもが楽しめる場所であり、親の負担を減らしてくれる便利な存在だと実感できるはずだ。

ベビーカーで入れるか? 駐車場は? おむつ替えスペースは? そういった細かな不安も、図書館によってはHPで丁寧に案内している。気軽に電話で聞いてみるのもいい。

「図書館に行ったことがない」という家庭こそ、実は最も図書館の恩恵を受けられる可能性がある。ちょっとの勇気が、新しい世界への扉を開いてくれる。


おわりに

図書館は、子育て家庭にとっての「秘密基地」である。無料で、豊富な本があって、親子の時間を豊かにしてくれる。利用しない手はない。

これまで敬遠していた方も、ぜひ一度最寄りの図書館に足を運んでみてほしい。そして子どもと一緒に、本を手に取ってみてほしい。

そこには、思いがけない発見と、親子のかけがえのない時間が待っているはずだ。

子どもが騒いだら?気にせず子どもは騒ぐものです。と思って堂々としていればよいのだ。

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