国語辞典とマーカーを常備しようぜ

言葉の力は、思考の力でもある。子どもに豊かな語彙を身につけてほしいと思うなら、まずは身近に「言葉を探求するための道具」を置くことが大切だ。

我が家では、新明解国語辞典とマーカーを枕元に置いている。子どもがわからない言葉に出会ったとき、親がすぐに説明できるとは限らない。そんなときこそ辞典の出番だ。辞典を引き、調べた言葉にマーカーで印をつける。この積み重ねが、言葉の世界を広げる手助けになる。


1. 新明解国語辞典とマーカーを枕元に

新明解国語辞典は、単なる語彙の解説にとどまらず、時に鋭く、時にユーモラスな定義が魅力の辞書だ。たとえば「恋愛」を引いてみると、「特定の異性に特別の感情を抱き、その人との結びつきを他の何よりも大切に思うこと」など、かなり踏み込んだ説明がなされている。

別に新明解国語辞典でなくともいいのだが、国語辞典を枕元に置くことで、子どもが「これってどういう意味?」と尋ねたときに、すぐに調べることができる。「わからないことをすぐに調べる」という習慣を自然に身につけてもらうのが狙いだ。


2. 親が説明できない言葉にこそ、辞書を使う

大人になっても、言葉の意味を正確に説明するのは意外と難しい。「勇気って何?」と聞かれて、すぐに明確な説明ができるだろうか。「強さとは違うし、怖がらないことでもないよね……?」と迷ったら、辞書を開けばいい。辞書の定義を読みながら、親子で「そういうことか!」と納得する時間が生まれる。

このプロセスを繰り返すことで、子どもは「言葉は調べればわかるものだ」と学ぶ。そして、親自身も「自分はこの言葉の意味をちゃんと理解しているだろうか?」と振り返る機会になる。


3. 調べた言葉にマーカーを引く

辞書を引くだけでなく、調べた言葉にマーカーで色をつける。これを続けると、辞書の中に「自分の足跡」が残る。

ある日、「あれ、前にもこの言葉調べたね」と気づくかもしれない。「随分たくさんの言葉を調べたね」と、親子で積み重ねを実感できる。辞書が「知識の成長記録」になっていくのだ。


4. 「あかさたな」の並びに興味を持たせる

辞書を引いていると、子どもは「あかさたな」の並びに気づく。「あいうえお順」のルールを理解し、「この言葉は『さ』だから、このあたりにあるかな?」と探し方を学ぶ。

これは単なる辞書の使い方の習得にとどまらない。辞書を通じて「言葉の体系」に興味を持つきっかけになる。こうして、子どもは「言葉の世界にはルールがある」ということを少しずつ理解していく。


5. むしろ脱線こそ大歓迎

辞書を開くと、調べたかった言葉以外の単語にも目がいくことがある。子どもが「こっちの言葉も気になる!」と言い出したら、むしろチャンスだと思って、眠い目をこすりながら積極的に付き合うことにしている。

例えば、「勇気」を調べている途中で「勇敢」という言葉を見つける。「これって同じ意味? 何が違うの?」と考え始めたら、しめたものだ。どんどん脱線しながら、新しい言葉に触れる機会を増やしていきたい。


6. 親が「書籍を手に取る」姿を見せる

辞書を引くこと自体も大切だが、それ以上に大事なのは「親が本を手に取る姿を見せること」だ。スマホで検索すれば簡単に言葉の意味はわかる。しかし、子どもにとって「親がスマホをいじる姿」は、調べ物をしているのか、単にSNSを見ているのか区別がつかない。

一方、辞書を手に取る姿は「本から知識を得る」というメッセージをダイレクトに伝える。子どもは親の行動をよく見ている。「親が辞書を使う姿を見せること」自体が、子どもにとっての大きな学びになる。


7. 辞書を「家族の共有アイテム」にする

辞書は、個人のものとして使うのも良いが、家族で共有することで楽しさが増す。

調べた言葉にマーカーを引くことで、家族みんなの「学びの記録」が積み重なっていく。「お父さんもこの言葉調べたんだ!」「お母さんはこの言葉に興味があったのか」と、ちょっとした会話の種にもなる。

また、子どもが成長するにつれて、調べる言葉の傾向も変わっていく。小さい頃は「うさぎ」や「りんご」だったのが、小学生になると「挑戦」「責任」など、より抽象的な言葉に移り変わる。辞書に残るマーカーの跡が、子どもの成長を可視化する記録にもなるのだ。


まとめ

新明解国語辞典とマーカーを枕元に置く——これは単なる学習習慣の話ではない。

・親も「言葉を調べる」ことを習慣にする。
・辞書を引くたびに、知識の積み重ねを実感する。
・「あいうえお順」や言葉の体系を学ぶきっかけになる。
・脱線しながら新しい言葉に触れる楽しさを知る。
・親が本を手に取る姿を子どもに見せる。

この取り組みが、子どもにとって「言葉を学ぶことは楽しい」という感覚につながれば、それだけで大成功だ。

スマホ検索も便利だが、アナログネイティブとしては、アナログの良さも伝えたうえでのデジタルの良さであってほしい。紙のページをめくりながら、新しい言葉との出会いを楽しんでみてはどうだろうか。(とか言いながら通勤中はKindle が手放せないのだが)

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